好きって気持ちは溢れるばかり

一度溢れたらもう止まらなくて・・

だから君が誰かと話してるだけで

心がおかしくなりそうで…


What to say


朝、いつもと同じ時刻にハリーは起床した
今日もいつもと変わらない1日が始まるんだろう。前ならそんなことを考えていただろう
そしていつものメンバーと一緒に朝食を食べに大広間へと向かう。
そして1日の授業をして、今度はクディッチの練習をしに外へ行く。それがいつもの日常だった。だけど、今は違うんだ
何故なら僕に恋人が出来たから。ずっと想い続けてやっとこの恋が実った
それに時が経つのは早いもので、付き合ってからもう1年目になる。だから今日も朝から授業が終わってもずっとハーマイオニーの傍にいるんだ
そう思いながらハリーはベッドから起き上がり、制服に着替えてハーマイオニーの待つ談話室まで急いだ

「お待た・・せ・・」

談話室に着いてみるとハーマイオニーの姿はあった。だが、その隣りにはロンが座って仲良く話していた
いつもなら目を合わせているだけで喧嘩をしているような二人があんなに楽しそうに会話をしている
そんな光景をみてハリーは少し変な感覚に襲われた。胸の辺りがちくりと痛んだ

「!・・ハリー、おはよう!」
「あ、ロン・・おはよう」

ロンが自分に気付いたのか笑顔で挨拶をしてくれた
そういえば、起きた時に居なかったと思っていた
ちらりとハーマイオニーを見るといつもの笑顔を向けてくれている

「おはようハリー。今日はロンより遅いお目覚めね」
「おはよう、ハーマイオニー。今日はちょっと・・ね」
「なにかあったの??」

心配そうに僕の顔を覗いてくる
そんな心遣いが嬉しくてくすぐったいようなカンジがする

「何でも無いよ」
「そう?それじゃあ、朝食に行きましょう」

いつも通りの笑顔を向けて心配かけぬようにした
そして3人で一緒に大広間へと向かった


■□■


そして、午前中の授業が終わって午後の最後の授業は僕の嫌いな『魔法薬学』だった
今日の授業は復習で縮み薬を作った。いつもなら実験の相手はハーマイオニーのはずが今日は何故かロンとだった
それにいつもなら授業中でも目を合わせてくれるのに今日はそれがなかったし、なんだか最近本当にロンと仲が良いし・・

(なにかあったのかな??)

ハリーはそれだけを気にしすぎて前に習ったはずの縮み薬を失敗してしまった
スネイプがそれに対しての厭味をぐだぐだと言ってきたが、ハリーの耳には全く入ってこなかった
ずっと今日のハーマイオニーの行動について気になって仕方なかったのだ

今日の授業の全てが終わって夕食まで時間があったのでハリーはブナの木の下でその事に付いて考えていた
約30分ぐらい考え込んで出てきた答えは三つだ。

1・自分がハーマイオニーを怒らせるような事をした

2・ハーマイオニーに好きな人が出来たから自分に会わせる顔がない

3・自分を嫌いになったから顔も見たくないし、行動も共にしたくない

「1以外全て絶望的だ・・」と胃がとても重く感じた
だが、ハリーは考えた
理由が1の場合、朝に僕と会話するはずがないからだ

だとすれば残されているのは、2と3の絶望的な答えだけ
それにハリーはまたも頭を抱えた



■□■

ジニーが大広間に行く途中で僕を見つけたので、夕食の時間だということを教えてくれたのだが、そのことについて頭がいっぱいで夕食を食べる気にはなれなかたので結局夕食には行かずに、そのまま木の下にいた
そして、もうその場所にいて2時間ぐらいは経っただろう既に日は傾いていて空には星がちらほらある
ずっと考えていたのだが、やっぱり何を考えても彼女を怒らせた理由は出てこない
とうとうハリーは膝に顔を埋めて何も考えられなくなってしまった

「・・・ハリー?」

頭の中がもう真っ白でそれが誰の声かも認識できなかった
頭をあげるのも億劫なので、相手にこのまま行って欲しかった

「どうかしたの?ハリー??」

声が段々近くなって、自分の頭の上に何かが置かれた。
やっと頭を上げて相手の顔を見た瞬間、驚いた。相手は自分をとても心配そうに見つめていた

「ハ、ハーマイオニー・・・」

今まで考えていたことをまた思い出してしまった
彼女と目を合わせられない。思いっきり目をそらしていた

「ねぇ、ハリー?どうしたの??」

ハーマイオニーがしゃがんで自分をじっと見てくる
なんだか気まずくて余計目を合わせられなかった

「・・・怒ってるの?」

答えなかった。というか答えられない
彼女と話すのが怖いというのが正しいのかもしれない
もしも、別れたいと言われたら・・? もしも、嫌いと言われたら・・?

「どうして話してくれないの? 私、怒らせるようなことした?」
「なんにもしてないんじゃない・・・?」

顔を見れずに地面ばかり見て話すのでハーマイオニーの顔を見れなかった
なので今彼女がどんな表情なのかも当然解かるはずがなかった

「・・・」

何も言わなくなってしまった彼女
心配して見てみるとハーマイオニーは俯いている

「・・・・」
「・・・・」

沈黙が続いた
どちらかが口を開けない限りこのままだろう
ハリーはこの気まずい雰囲気をどうにかしなければと口を開いたが

「・・ね、ねぇ・・ハリー・・」

始めに口を開いたのはハーマイオニーだった
何も言わずに目を向けるとハーマイオニーは何か言いにくそうな感じだった

「やっぱりハリーが怒ってるのって私の所為よね??」
「・・・」
「ねぇ、なにか教えてくれないかしら?悪い所なら直すわ。だから・・・」

自分のローブをぎゅっと掴みながら自分を見つめてくる

「・・・ただ・・その・・ハーマイオニーが・・」
「・・・?」
「・・・ロンと仲が良いから・・それに魔法薬学の時だってロンと一緒だったし・・・」
「・・・ハリー・・あなたもしかして・・」

強く握っていた手の力が緩められた
そして目を見開いたようにハリーを見ている

「・・やきもち妬いていたの?」
「・・・・・・」

ハッキリとそう言われてしまったので何も言わずにただ頷いた
子供みたいなことをしていたと今更思ってしまい顔を見れなかった

「・・・・・(クスクス」
「・・・別に笑わなくても良いじゃないか」
「ごめんなさい・・つい」

顔を上げてみると微笑んでいるハーマイオニーの姿がある
その表情を見てハリーは先程までの胃の重さが嘘のように軽くなった
何故あんなに悩んでいたのだろうと思うくらいだった

「ハーマイオニー・・・」
「なに?ハリー・・きゃっ」

勢い良く抱き締めた
自分の腕に愛する人の温もりを直に感じている
それが凄く嬉しかった。

「ちょっとハリー!誰かに見られちゃうわ・・!!」

頬を赤く染めながら胸を押して拒んでいる
だが、周りで誰が見ていようと関係なかった

「良いよ、見られても・・邪魔はさせないから・・・」

このままでいたいと思った
腕の中で大人しくなった彼女が凄く愛しくて堪らない
この気持ちをどうしよう・・どうすればこの気持ちが少しでも収まるのか
きっとこのまま彼女を離さずに居ればそのうちこの感情も少しは安らぐだろうな

そっとハーマイオニーの耳元に口を寄せて何かを囁いた

「          」

離れて彼女の目を見つめていた
ハーマイオニーは恥ずかしいような嬉しいような表情だった
そしてハーマイオニーも同じように耳元で囁いた

「        」











この瞬間がとても愛しく、とても大切だと感じる

だから好きって気持ちは溢れるばかりなんだ


『君が好きだよ・・・・』

『私もよハリー・・』



+END+





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